日本選手権学生予選レポート      BY 木下 悟

 8月末、宮崎鏡山で全国のみんなと一緒に飛びたかったけどあいにくの天気のため学生選手権はキャンセルとなった。そこで空いてしまった日本選手権の出場枠を競うのが今回の大会。すぐに大会の準備をしてくれた皆さんにとても感謝しています。

 いきなりですが、当日の話。天気が良かったから足尾でやるものだと思い、普段通りに行って普段通りにしてたら開会式に出そびれてしまった。緊張感なさ過ぎてイマイチ大会気分になりきれてなかったが、会場をスカイパーク宇都宮に移すと決まってからはすごく盛り上がってきた。ツアー気分、たのしー!!はじめはあんまり行く気になれなかったんだけどね、ほんとは。
 このエリア、まず驚いたのがランディングの美しさ。一面が芝生!リゾート気分です。さらにもっと俺の心を掴んだのが、エキサイティングなモノレール。スカイパーク宇都宮が一気に好きになった。TOに上がってしばらく待ち時間があったので第1、第2TOに上がってみた。今まで恐い恐いと噂に聞いていたランチャー台。確かに恐そうなんだけど、俺はやる気をそそられた。ここからの見晴しも良くて、東側に見える岩壁がミニヨーロッパを感じさせてくれて、あそこでリッジとりたいと思った。
 で、そうこうしている間にみんなTOに到着し、1日目の競技開始。1日目ということもあり、すごくショートタスク。ショートタスクは大好きだ。なぜなら上げるだけで良くて他に何も考える必要がないから。ある意味、ソアリング選手権ってとこか。上げるのだけは得意なので、これはいけると思った。早めに出てTO前のサーマルで海抜1600まで上げ、ワングライドでゴール。カメラ時計で19分。イェーイ!!山の方を見るとシアーラインの雲が凶悪に発達していて猛烈な吸い上げ。1時間程荒れ荒れの宇都宮の空を楽しんでからランディングした。降りる時も激しく荒れていて昔のトラウマが強烈に甦ってきた。本当にめちゃめちゃ恐かったけどゴールしていたので気分は良い。ランディングではみなさん悲喜こもごも。うまく行かなかった人の事も考えてあまりはしゃがないでいたら、このあと後悔するはめになってしまった。
 喜びを内に秘めながら写真現像。今まで一度も現像に失敗した事がなかったので一抹の不安もありません。フィルムケースを開けて…、ほーら上手くいった。で、フィルムを洗って、太陽にかざして…、あ゛ーーー!!!!!データバックがっ!!!データバック用電源経路の接触不良でした。皆さん気を付けましょう。あーあ、ランディングした後もっと全身で喜びを表現しておけば良かった。皆さん後悔先に立たずです、喜びはその場で表現して周りに幸せを分けてあげましょう。

 次の日も宇都宮。朝発表された前日のリザルトを見てみると、悲しい事に2時間以上もかかった事になっている。しかも時間得点はたったの2点!2点って何ですか!!この時間得点に意味を持たせるためにも、今日は1点差でドラマティックに優勝しよう、とポジティブに考える事にした。昨日はすぐに上げられたし、飛びに関してはいい思いをしていたので、俺ってここのエリアとかなり相性が良いなぁと思い込んでいた。
 だが、現実はそんなに甘くない。前日にあまり美しいテイクオフができなかったので今日こそはと思っていたが、また乱れた。みんな見てるし、こんな事ではだめだと思い中止したところ、グライダーが向かった先は、杉の木!!最悪です。グライダーに引きずられてランチャーから落ちそうになった。これまた昨日に引き続きすごく恐い思いをしてしまった。手助けしてくれたみなさん、迷惑をおかけしてすみませんでした。自分には「みんなにハンデを与えたんだ、落ち着け!」と言い聞かせて再びTOしたものの、飛んで30分位はかなり動揺していた。思うように上げられず、ついだらだらとスタートを切るはめに。はじめのうちは「今日は確実にゴールする事が目標だ」と謙虚な姿勢だったが、飛んでるとノッてきちゃって、つい欲が出て、猛烈な勢い(自分の中のイメージ)で追い上げて、走り急いで最後のパイロンとれず。冷静になったのはランディングアプローチ中。大学1年の時からの夢がまた達成できなかったかと思うと、本当に悔しくて叫びたい気分だった。

 今回飛び終わって、人と競い合いながら技術的にも精神的にも上達する事の楽しさを再認識できたのは大きな収穫だった。あと、人と競っているつもりでも実は自分と闘っているんだなという事も感じた。学連枠で日本選手権に出させてもらう事になり、これから岡山に向かいます。目標は大きく?持ちながら、でも少し冷静になって焦らず、毎日良い飛びが出来ればいいなと思っています。さあ、自分との闘いだ!

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